2020年記事一覧
レッドゾーン
1つは急傾斜地関係の特別警戒区域に入っていて、もう一つは土石流の特別警戒区域に入っています。
両方とも通称レッドゾーンエリアということで、基礎を立ち上げたり擁壁を設置したりと、対策を講じた設計で進めています。
なぜそこに住むのか?又は住み続けるのか?
急傾斜地関係の方は建て替えで、その場所に愛着があり、利便性もいいので離れたくない。
土石流関係の方は、土地を新たに購入しての新築ですが、道路向かいが実家。
どちらも、ここに住みたい、住み続けたい、という理由があります。
私が住んでいる八木も6年前の土砂災害で被害を受け、災害後自宅はレッドゾーンに入ってしまい、周りの人からは「まだそこに住むん?どっかに移ったら?」と言われました。
確かに単純に考えるとそこに住み続けるのにはリスクがあり、安全面を考えて引っ越すのは簡単ですが、私はこの土地で住み続けています。
理由は近所の方々と仲がいいから、利便性がいいから、日当たりがいいから、静かだから、など数え切れませんが、一番の理由はこの周りの人が好きなんだと思っています。
災害時にも助け合ってきましたし、現在でもご近所付き合いで野菜などを玄関先に置いてくれていたりします。
そういえば昔子供が幼稚園の頃、かみさんが風邪をひいた時には近所のおばちゃんが送り迎えをしてくれたりしていました。
こんなことを思い出していると、現在設計している2家族が「リスクはあるが、ここに住む」という意思が理解できる気がしています。
人っていうのは複雑だなぁ、と思うとともに、万が一何かあっても命と財産を守ることの出来る家にしたいと思っています。
四季が丘の家完成
およそ1年前から工事を進めていた「四季が丘の家」の増築+リフォーム工事が終わりました。
住みながらの工事でもあり、コロナの影響で外壁が入らなかったりと、まぁのんびり工事をしていたというのもあるのですが、検査機関の検査も終わり、無事終了することが出来ました。
リフォームはともかくとして、増築部の1階はゴルフのシュミレーターを設置した部屋で、その2階は奥さんのドレッサールームとなっています。
当初お話を頂いた時、ゴルフのシュミレーターの事が良く分からず、ゴルフ好きの友人に市内のゴルフカフェに連れて行ってもらった事を思い出します。
また奥さんからはイメージとして、ミランダカーのドレッサールームの写真をLINEしてもらったりもしました。
イメージに合う造り付け家具の取手や丁番をひたすら探したり、ゴルフボールが照明にあたらないようにするための工夫などそれなりに大変でしたが、新たに様々な知識が付いた気がします。
「やっぱりいいなぁ」無垢フローリング編8
最後は、3.木目を浮き立たせるか、目立たせないようにするかですが、特に和風に仕上げたい時は木目を強調させます。
それもクリアか、武家屋敷みたいに黒っぽいオイルを塗るか。
どのような仕上げにしたいかで色が変わってきますが、クリやナラ、タモなどにオイルを塗ると、木目がくっきりと浮かび上がり、昔日本人が木目を愛でていた感覚が分かる気がします。
反対に木目が目立たない樺などの木を使って、主張させない事もあります。
木目が際立つとどうしても和風や洋風の雰囲気になってしまいがちなので、スッキリとした部屋に仕上げたい時は木目が出ないように出ないように考えるようにしています。
以上が無垢フローリング編でした。
重ねて書かせて頂きますが、私自身は無垢フローリングを好んで採用していますが、傷が付きやすい、樹種によっては高価である、などデメリットがあります。
ですので、お客さんごとに考えるようにしていますので、必ず採用するという訳ではありません。
家族構成や年齢、ご予算など総合的に考えて判断する、というのが実情ですね。
事務所移転
ちょっと急だったのですが、元々自宅を建てた時、両親が衰えてきたときに同居できるように、そしてもしかしたら私が65歳になる15年後ぐらいに2階を事務所として使えたら、という思いから、それなりの広いスペースとトイレや小型のキッチンなどを設置していました。
それまでは私たち夫婦の寝室として使う予定でしたが、コロナをきっかけに事務所として使用することに決めました。
そのきっかけですが、かんくう建築デザインで働いてくれている子育て中の二人のスタッフが、コロナの関係で事務所に来ることが出来ず、試しに完全にリモートワークを試してみた所、全く問題なく仕事が出来たのがきっかけです。
一番長く働いてもらっている方は8年近く。もう一人は3年ぐらい。
これだけ長いと、事務所で顔を合わせることが無くても、メールやLINEを中心としたデータのやり取りで問題なくいけました。
ちなみに移転した事務所でも2人の机は残し、いつでも顔を合わせながら仕事が出来るようにしています。
今日の昼からは複合機の設定のため業者さんがきたり、HPでの移転のお知らせや各種移転届が残っていますが、事務所的になんとか形が整いました。
ということで、今日から新たな気持ちでスタートです。
職業・仕事について考える授業
毎年1年生を対象に行われている授業の一つで、私は今年で13回目。
ということで、もう慣れたもんです。
この授業の内容は、職業・仕事について考える授業で、全部で7分野に分かれています。
1分野あたり2名の方がお話をするのですが、私は製造分野で毎年マツダの方とタッグを組んでお話をしています。
なおその他の分野は、ファッション系、医療系、マスコミ系、教育系などがあり、生徒は興味のある分野を選択するわけです。
13回目の今日は女子生徒も何人かいて、またこれまでの中で一番人数も多く、質疑も結構出てうれしかったですねぇ。
ちなみに授業を聞いてくれる生徒数は時代を反映しているような気がします。
10年近く前は今より不景気だった関係で、製造系は少なく、反対に公務員系がとても多かった記憶があります。
そうそう、授業の質疑の時に手を上げるのが恥ずかしかったのでしょうか。
ちょっとした休憩の時に女子生徒の一人が「私建築が好きで、建築士になりたいんです!」と直接話をしに来てくれました。
そんな姿を見ると、「建築設計者というのは、お客さんにも夢を与える仕事であると共に、後輩にも夢を与える仕事なんだなぁ」と思いました。
可部のまちづくり
12日の土曜日、可部の「縁が和」で、急遽行われたワークショップに参加してきました。
毎年3月に地元の方々や地域のお店、元可部線沿いの商工会の方々と開催していた「終着駅マルシェ」が今年は中止。
そこで、ちょっと今後を見据えて、コロナ対策をした「終着駅マルシェ」だけでなく、可部の町づくりに活かせる何かを皆で考えよう!という事で、ワークショップを開く事になりました。
こういうご時世ですので、風通しのいい外部というだけでなく、マスクと「縁が和」特製のフェイスシールドを装着し、熱い議論を交わしましたが、写真を見ての通り、ちょっと異様。
私自身、フェイスシールドを初めて付けてみましたが、メガネが曇ってしまうのには少々困りました。
息を下に吐き出すようにしなくてはいけないようです。
100歳になるまで住み続けられる家
お話を頂いたのは6年前。
その時のお施主様はお母さまで御年88歳。
建て替えのお話は滋賀県に住んでおられる息子さんから頂きました。
その時基本計画はしましたが、ご親族から「今更建て替えるん?」など反対意見もあり、結局断念された経緯がありました。
しかし昨年息子さんから「母が私100歳まで生きると思うけぇ、新しい家に住んでみたい、と言い出しましてねぇ」と相談があり、最終的に滋賀県に住んでおられる息子さんが施主となり、また一緒に住むという形で再スタートしました。
再スタートしたはいいのですが、打ち合わせするお施主さんは滋賀県。
また息子さんといっても75歳で、しかも工事中はコロナの関係でなかなか広島に来れない、という環境の中、無事お引き渡しすることが出来ました。
新居を熱望したお母さんは現在94歳となり、耳は遠くなりましたがまだまだお元気です。
16日には滋賀県の息子さん宅から帰広し、写真ででしか見ていなかった新居をやっと目にすることが出来ます。
家を建てる年齢うんぬんというより、100歳になるまで住み続けられる家、という事を考えさせられた経験となりました。
「やっぱりいいなぁ」無垢フローリング編7
次は 2.硬い木にするか柔らかい木にするか、ですが、以前少し書いたように、それぞれで良さがあります。
硬い木の良さは、傷やへこみが付きにくい。
柔らかい木の良さは、硬い木に比べて冷たくない、ほんのりクッション性がある、等の特性があります。
硬い木の代表格は、クリやナラ、ウォールナットなどの広葉樹が多く、柔らかい木はスギやヒノキ、パインなど、針葉樹が多いです。
無垢フローリングの樹種を考えるとき、お子さんや車いすの方がいらっしゃったら、硬い木にすることが多いですし、アメリカン的なナチュラルな雰囲気が好みの方でしたら、柔らかい木にすることが多いですね。
またコスト的に硬い木は高く、柔らかい木は比較的安い、という事があげられます。
おそらく、スギやヒノキは身近にある樹木なので、安いのではないでしょうか。
私の事務所がある広島市だと、スギのフローリングだと廿日市市の吉和産が多いのですが、吉野杉の産地である徳島県から足場板を運ぶついでに、コンテナに積んできたことがあります。
それと面白いのが、フローリングではありませんが、三原でリフォームした時スギで図面を書いていたのですが、現場からこの辺りはスギよりヒノキの方が安い、ということで柱などの構造材をヒノキに変更したことがありました。
おそらく、広島県の西の方はスギが多く、東の方はヒノキが多いのが理由なのでしょう。
スギやヒノキなど柔らかいフローリングを採用する場合、表面を浮造り仕上にすることがあります。
これは年輪と年輪の間の柔らかい部分を少しブラシで削り取って、硬い年輪を浮かせる工法で、物を落としても硬い所にあたるので、傷が付きにくく、付いても目立ちにくくなります。
また多少ボコボコしているので、足触りもよく、とても気持ちのいい仕上がりになります。
浮造り仕上の床って、本当に気持ちがいいですよ。